あしたてんきに・・・
夕未「何やってるの、遥?」
「てるてる坊主、作ってんの」
夕未「明日何かあるというわけでもないのに、どうして?」
「雨、嫌いだもん」
夕未「雨っていうか・・・中でじっとしてるのが嫌いなんでしょ?」
「うん。だからほら、夕未も手伝って」
夕未「は? どうして?」
「千個作るの! だから手伝って」
夕未「千個って、それは折り鶴・・・」
「いいから手伝ってよ!」
夕未「いやあよ。私、そんなことしに来たわけじゃないんだから」
「じゃあ帰ってよ。そこでぬぼーっとでかい図体並べられてると邪魔なんだけど」
夕未「大きくて悪かったわね。それより遥、この前貸した傘、返してよ」
「え、傘? ・・・・・・ああ、ごめんごめん、すっかり忘れてた」
夕未「また明日から雨みたいだから今日のうちに干してしまいたいのよ。だから早く返してくれない?」
「分かってるって、今取りに行くから」
  (どたどた・・・・・・)
 
  (ばたばたばた・・・・・・)
夕未「あ、遥。何やってたのよ、遅かったじゃない」
「ご、ごめん、夕未・・・・・・」
夕未「どうしたの?」
「傘、どこかにやっちゃったみたい・・・」
夕未「え〜っ、ウソでしょ!? あれお気に入りなのに・・・!」
「ごめんっ! この通り謝るから、許して!」
夕未「本当にちゃんと探したの!?」
「う、うん・・・傘立てとか、置いてそうな場所は全部探したんだけど、見つからなかった」
夕未「そんなあ・・・」
「ごめん! 許して!」
夕未「許して、じゃないわよ! ちゃんと責任取ってよね!」
「せ、責任って言われても・・・」
梨花「あ、夕未さん。いらしてたんですか?」
夕未「あ、ちょっと梨花さん、聞いて下さいよ! 遥ったら私の傘を・・・」
「だ、だから謝ってるじゃない〜」
夕未「謝って済む問題じゃないわよ!」
梨花「傘、ですか・・・? もしかして、淡いピンクの縁取りのある傘じゃありませんか?」
夕未「はい、そうです。・・・あれ、梨花さん、どうして知ってるんですか?」
梨花「その傘でしたら、裏庭で干してありますよ。ほら、久しぶりに天気がよかったものですから、まとめて干してしまおうと思いまして。見慣れない傘があったと思ったら、夕未さんのでしたか」
「・・・・・・・・・・・・」
夕未「・・・・・・・・・・・・」
梨花「・・・・・・どうかしましたか? お二人とも黙り込んでしまって・・・」
夕未「・・・・・な、なんだ、そうだったんだ・・・・・・よかった〜・・・」
「よくないよ! それでいわれもなく責められたあたしはどうなるわけ!?」
夕未「ご、ごめん・・・だって、あの時は本当になくしちゃったものだって思ったから・・・」
「謝って済む問題じゃない! 責任取ってよね!」
夕未「せ、責任・・・・・・っ?」
「あたしを責めたバツとして、てるてる坊主、作るの手伝ってよね!」
夕未「え〜っ、そんなの・・・・・・」
「・・・・・・ん?(ギロリ)」
夕未「・・・・・・ごめんなさい、手伝います」
梨花「あらあら大変ですね。頑張って千個、作って下さいね♪」
夕未「・・・・・・・・・・・・梨花さん?」
梨花「はい?」
夕未「もしかして遥に千個作れって吹き込んだの、梨花さんですか?」
梨花「さあ、何のことでしょう? 私にはさっぱり・・・・・・あっ、それじゃあ私はお洗濯の続きをしなくちゃいけないので、失礼しますね(ぱたぱた・・・・・・)」
夕未「ちょっと梨花さん! 逃げないで下さいよ〜!!」

 

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