おまけ。

 

「──ひくっ、ぐすっ……」
 あの恋人たちが逢い引きをしていた、城のお堀のほとり。そこで、トリスがひとり、膝を抱えてべそをかいている。
 堀の中の水は、とてもきれいで、淀みない。先程から頭の中で渦巻いて離れないよこしまなイメージとは、理想的なまでに対照的である。出来るなら、頭の中身を取り出して、この水の中に投げ込んで、きれいに洗い流してしまえたらいいのに。
「あううう……やだ、やだぁ……」
 しかし、聡明で想像力豊かな彼女には、それを忘れることなんて、途方もなく困難なことであった。

「……参ったなあ。今度はあっちを慰めなきゃなんないのかよ」
 そこから少し離れた、トリスのいる場所からは死角になっている茂みの中。彼女が最初に身を潜めて恋人たちを観察していた場所で、今度は彼女がマリアとフィリス、そしてミリーの三人に観察される番であった。
「……どうしてトリスがああなったのか理解できないのだが。私は、何か、おかしな事でも言ったのだろうか?」
 落ち込むトリスを純粋に気遣って、ミリーが首を傾げる。
「ああ、はいはい。アンタは何も言わなくていいし、何もやらなくていいから」
 これ以上首を突っ込まれたところで、余計に話がこじれるだけだ。マリアはミリーの肩に手をやって、軽く後ろに退かせた。
「ねえ、マリア。トリスが趣味で叙情詩とか恋物語とか書いてるの、知ってる?」
 フィリスは、マリアの返事を待たずに、トリスの様子を窺ったまま続けた。
「最近ね、変な考えばっかり浮かんで書けないじゃない、ってよくがなってるのよ。……どうしてかしらね」
 誰にともなくそう問いかけて、フィリスはかぶりを振った。

[今度こそ...END]

 

 

 

 

あとがき

 日本の夏、妄想のなつっ・・・・・・!?!?(殴)

 ・・・・・・ああっ! あうっ! やめてっ! ぶたないでっ!(撲殺)

 性懲りもなくやってしまったこのパーティー。
 実に1年ぶり。去年の夏に続いて、2度目のご登場を願いました(笑)
 前回の話とか、キャラ設定とかは「夢見のめもりー」の方で・・・♪

 前回同様、ぽっと出のネタで、勢いだけで「がーっ!」と書いてます(笑)
 出番少ないけど、ミリーらしいミリー節はミリーっぽい感じに炸裂・・・できてるかな、てへ☆(おい)
 あとはみなさんの、トリスちゃん顔負けな「妄想力」で(「想像力」に非ずw)補ってやって下さい。
 このシリーズは、読み手のイメージを励起させよう、というコンセプトでやってますので(今決めた。←マテ)

 ちなみに、冒頭の書き出しは、電車内でメモ帳片手にかきかきしてました。
 ・・・・・・いやー、恥ずい、恥ずい(笑)
 あんなに人目気にしながら電車に乗ってたのは初めてだー(阿呆)

 このお話を書く上で、ちょっといじらなきゃならない(マリアの)設定があったり、
 性格「ふつう」のフィリスがマリア以上に「くろうにん」になってたりしますが・・・
 細かいことは気にしなーい!(笑)
 今後も書くことがあれば、設定変わるかも知れません。
 でもいーんです、楽しければ!!(言い切った)

 ・・・次も書きたいなー。
 ネタ、浮かぶかなー・・・

2004年8月1日 群雲ハルカ


[ BACK ]